【旅】弱小バックパッカーの奮闘記 vol. 23 世界一周の備忘録 ベトナム
前回の記事はこちらー!!
少し悶々としながらホーチミンに帰った。
帰りの車窓から見えたのは、綿菓子のようにまったりとした色の雲空と、
朝日に照らされた数々の工事現場だった。
建ちかけのビル、新しい道路。
行き交うダンプカーに、少し眠たそうな作業員。
一歩ずつ、自分たちの将来を彼らの手で築いていく。
…この国は、今まさに成長中だ。
今はあちこちにあるいくつかの日常…
穴ぼこ道路も、さながらバラックのような家も、
いつか懐かしく感じるんだろうか。
流れてゆく風景をしり目に、僕は再び眠りについた。
時々、バスが道の穴にはまって体が浮いていたが、
それすら受け入れられるようになっていた。
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つかの間の睡眠。
ホーチミンまではあっという間だった。
でも、気持ち的には考えること(前回の男性のことなど)があって、
行きよりちょっぴり遠くに感じた。
朝早くのホーチミン。その時、ここの昼間の活気なんて僕はまだ知らなかった。
シーンと静まり返り、空気まで寝ぼけているようで、
少し不思議な気分になった。
静かな町の路地に、僕。ひとり。
コンビニで水ととりあえず軽くつまめるものを買って自分の部屋に戻る。
オーナーの娘さんたちがテレビを見ながら地べたで朝食を食べていた。
こっちに気づくと、眠そうに挨拶してくれた。
部屋についたら、少し落ち着く。
荷物を放り、とりあえず用を足す。コーラ、飲みすぎた。
少し長めに腰かけすっきりしたのもつかの間、
ピーの色がウーロン茶だった。
旅に出てからわけわからんものばかり体からクリ出るな。
そんなこともフィリピンで慣れてしまったのか、
何事もなかったかのように流して、変なテンションでクククと一人笑いを噛む。
少しずつ旅慣れしていく自分に、うれしさと多少の狂気を含んで。
そうしてべッドになだれ込む。
バスで眠ったが、眠気はすごい。
色褪せたハローキティのシーツにくるまり、
ものの数秒で夢の中だ。それはまるで海の中。
体が沈んでいく感覚。
意識もゆっくりと、潜っていった。
目が覚めると、日はすっかり沈み21時を過ぎたくらいだった。
部屋の外ではしとしとと、雨が屋根や壁をたたいた。
そしてバイクの排気音がひっきりなしだ。
何をするにも微妙な状況。
仕方がないので、お菓子をつまみながら情報収集だ。
フランス統治時代のこと、ベトナム戦争や、今の経済発展などなど…
知らないことだらけだった。
そんなの事前に調べろという人もいるだろうが知ったこっちゃない。
これは僕の旅なんだから。これが僕のペース。自己責任さな。
情報の海をネットサーフィン。
その中で面白いものを見つけた。
ベトナムの人たちは外に出るときどうやら
棒を持って、移動するそうな。
それは、野犬、狂犬に襲われたときに戦えるように。
だそう。
確かに、別の日に街歩きをしていたら、
仲良く棒を持ったおばちゃんグループに遭遇した。
場末のヤンキーみたい。
裏を返せば、それだけ被害があり、
そんなことが日常的なことなんだと思った。
日本じゃまず関わらなかったし、関心すらなかった。
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ここまでのベトナムの旅では、
不思議と気性の荒い人(悪気はないし、責めるつもりもない。)との
出会いが目立ったが、彼らの気持ちは環境によるものなのかも。
今は、目の前の生活で目いっぱいの方も大勢いる。
見えない傷を負った人も。
でも、ベトナムは今後はもっともっと力をつけていく。
それとともに、彼らの心も豊かになることを願っている。
そんな環境のもと、彼らと共にさせていただいた。
知らない一面も、多少知っていたことも、
輪郭がだんだんとはっきりしていった。それでも、まだ霧がかっている。
そんな霧が少しでも晴れることを考えながら、
今日もどこかへ旅に出ている。
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to be continued
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