jackpackerの日記

旅するアーティスト、Jackやで。バックパッカーの土産話、聞いてく?

【旅】弱小バックパッカーの奮闘記 vol. 22 世界一周の備忘録 ベトナム

 

前回の記事はこちらー!!

 

jackpacker.hatenablog.com

 

 

なんだかんだバスの時間まではまだまだある。

そして歩き回ったせいもあって、おなかは減っている。

…となったら食事だ。

最近ブログが食べログっぽくなってきたな。

 

ふらりふらりと街をさまよう。すると一件目に留まった。

”SUSHI BAR”

 

久々に日本食が恋しくなっていた。

というより、一人で寂しかったのかもしれない。

”慣れた”食事、環境、人たちすべてが恋しかった。

 

でも、ここまできて日本食か… 旅人の名が泣くのでは…?

とか本気で思って悩んでいた。

そんなもんだから、お店の前を行ったり来たり。

 

それでも体は正直なもんなので…

客引きのおねぇさんの前で盛大にぐぅぅぅ…とおなかが鳴ってしまい、

おねぇさんと目が合い、「食べてく?」と言われたので、

素直に「はい。」と答えて暖簾をくぐる。 

 

「いらっしゃいまぁせぃ!!」

とお店の人たちが迎えてくれた。

節約生活なので、一番安かった鉄火とサーモンを頼んでみた。

 

「Here you are.」

と出されたお寿司はつやがあってとてもおいしいそうだった。

失礼ながら意外だったので、いい意味で期待を裏切ってくれた。 

でもよく考えてみるとここ、港町だし。

当然っちゃ、当然か。

 

テーブルの上に置かれた醤油。

あぁ、キッコーマンの醤油だぁ…!

と小さなことでも感動していた。

 

早速、サーモンからいただく。

…うん、うまい!!!厚切りだし、脂のノリがいい!

続いて二番手、鉄火巻き。

ちょっと海苔には白いもの(白い海苔かな?)が混じってるけど、おいしい。

ガリもちょうどいい味加減。

 

≪総評≫ 懐かしの味に感動して、力がみなぎった。

ちなみにこのころはサーモン一択だったが、

今ではアジが好き。大人になった。

 

さて、完食して時計を見ると17:45ころ。

バスは18時から、のはず。

ちょうどいいや。いよいよこの町とおさらばだ!

そしてバス停の受付へ。

 

「あ~、これ20時からだよ。」

 

え、何!?2時間待たなあかんのん!?

って顔していると、確認してみるね、とのこと。

でもやっぱり、この時間ではないとのこと。

「ここで待っていてもいいよ。そこの水は自由に飲んでいいからねぇ。」

とほぼ壊れているウォーターサーバーを指さして言った。

蛇口が明後日の方向を向いていた。

どうやったらこんな風に壊れるんだ。という壊れ方。

 

仕方がないのでイスを借りて待つことに。

iPodで曲を聴く。警戒のため、イヤホンは片耳だけ。

少し、冷たい潮風が流れてきた。

足首組んで、腕も組む。

 

水分摂取量がえげつないので、水は必要ない。

ダムもほら、限界だし。

 

30分くらいかなぁ。経った時、係の人が肩をたたいてきた。

何だと思って顔を上げると、

「手伝って。」

ウォーターサーバーの水の交換を頼まれた。

 

え、あ。はい。

と渡されたボトルをつかみ、水の交換をした。

あれ?客だよな、僕。

 

という文化のギャップを感じつつ振り返ると

頼んできたやつが僕の座ってたイスに腰かけていた!

いやいやいやいや。なぜじゃ。

これを見ていた受付していた人が、そのスタッフに注意してくれた。

怪訝な顔をして云った去っていったが、

去り際床に置いていた僕のカバンに蹴躓き、

後味の悪い瞬間だった。お互いに。

 

19時。受付に人に念のため確認する。

「21時だよっ!!」

あれれれれれれれれ?20時じゃなかったっけ!?

その旨を伝えても、「21時。」の1点張り。いやぁ。

しんどい。

 

スタッフさんのシフトがあるらしく、何人か新しい人たちが来た。

その中でも大柄な体格のスタッフさんがだるそうに僕を見ていた。

僕は死んだ魚のような目で見つめた。

すると受付の電話が鳴る。

その男性がぎこちない動きで受話器を取ると僕は、はっとした。

 

指がない。男性の指がなかったのだ。

そして、反対側の腕も、ひじから先がなかった。

びっくりしていたのと、じろじろ見るのも失礼なので

目線を外して曲に集中した。

すると、男性の声が大きくなり、テンションも上がっていった。

たまらず両耳にイヤホンを付けた。

しばらくはそれでよかったが、突然受付の様子が騒がしくなる。

何かを引っ張り出して、設置し始めた。

20時半。

 

僕はここでまたしてもカルチャーショックを受けることになってしまう。

運び込まれたものは、なんとカラオケマシンだ。

勤務中ね。一応。

はじめの歌い手は女性だったが、2回目からは例の男性がマイクを離さない。

そんな光景は、さながらジャイアンリサイタルだ。 

僕を含めお客そっちのけだった。 

 

そのくせ欧州系のお客が来たとたん、態度を変えて業務に戻ったので、

そのお客さんの後ろに並んで、乗り場などを確認しようとした。

例の男性スタッフさんに聞く。反応がない。

もう一度聞くと、「次のはお前のバスじゃねぇよ。」

と言われ、さすがに腹が立った。

隣のスタッフさんに確認すると、僕は確かに次に来るバスの乗客だと言って

確認と乗り場の案内までしてくれた。

良かった…。帰れる。

 

どっと疲れが噴出した。そこから10分待機。

バスが来た。

運転手にチケットを見せて、席に着く。

今回は床の席。ほっとしてくつろいでいると、先ほどの男性スタッフがやってきて、

「てめぇ、ここは違う席だ!!どけ!!」と言ってきた。

だったら後の席か、と尋ねたら

「Yes, sir!!!!」と怒鳴り去っていった。

 

周りの乗客は同情の目を向けてきた。

恥ずかしさより悔しいのが強い。

この時はもうめちゃくちゃで、疲れたし、メンタルつぶれた。

…寝よう。

 

 

後々男性との一連の出来事について思ったのが、

僕もいけない態度を取っていたかもしれない、ということもある。

 

そして男性については、そもそもなぜあんな性格だったのか。

これは僕の勝手な想像だけど、もしかすると男性は、

戦争に巻き込まれて手と指をなくしたのかもしれない。

あるいは事故かもしれないけど。

席を移動させられた時、彼のことを間近で見たんだ。

 

 

【生々しい傷あと。】苦手な人は飛ばして。

 

手のひらから腕にかけて傷ついて、服から露出した首にも傷跡があった。

手のひらの吹き飛んだ関節の部分は割けて割れていた。

同様に吹き飛んでしまったひじも、枝分かれのような状態。

そして怒った眼は、何に対しても怒っているような感じだった。

 

 

 

 

戦争は弾痕や、不発弾だけでなく、人にも傷跡を残している。

その悲しみや怒りは、飛び火していくんだろうな。

 

もっと別の理由かもしれないけど、出来事の根本を突き詰めてみる。

そう考えたら、彼も被害者かも。だから、僕はもやもやしていたけれど、

もうどうでもよくなった。

 

ホーチミンへの道すがら。

今度の12時間は、少しだけ長く感じた。

to be continued