jackpackerの日記

旅するアーティスト、Jackやで。バックパッカーの土産話、聞いてく?

【旅】弱小バックパッカーの奮闘記 vol. 26 世界一周の備忘録 ベトナム

前回の(死にかけた)記事はこちらー!!

 

 

jackpacker.hatenablog.com

 

 

ぐるぐる、ゴロゴロ・・・

あれからお腹はずっと悲鳴を上げている。

風呂には入れず、どこにも行く気力はない。

食べ物ももう、2日は口にしていないだろうか。

正露丸も、あと数日でそこを尽きる。

めっちゃ萎える。

体や頭がかゆい。かきむしり、気が付けば垢で爪は真っ黒に。

体中に老廃物がたまり、まとわりつく。

フィリピンで日焼けしたおかげで、ベッドには見事に僕の形をした

めくれた皮がこびりついていた。

僕の肌はまるで蛇のようになっていた。

 

 人間、体や歯をちゃんと洗わないと、

心まですさんでくる。(マジで)

 

次の日は、ほかの人と一緒にツアーだ。

さすがに風呂に入らないと。

とはいってもシャワーは冷水しか出ないので、

水に当たるのを最小限にするため

体洗い用のごしごしするやつを水にぬらして、

からだを拭く。

 

頭はシャワーの着地点を見て、服を着たまま洗った。

それでもガタガタ寒くて震えた。

まだ熱があるせいだった。

 

そうやって、たぶん3日ぶりくらいに風呂に入った。

タオルは黒くなったものの、

気分はすっきりした。

 

けど寒気もひどい。 

汚いベッドを力弱くはたき、

早く毛布にくるまり、明日に備えた。

ちなみに、いつしか部屋に住み着いたゴキブリは、

少し離れたところで僕の様子を見ているようだった。

 

タミーぐるぐる(腹痛)が治らないまま、

僕はメコンデルタツアーに参加した。

万が一に備えて、トイレットペーパーをパンツに敷き詰めた。

 

簡易おむつだ。

 

メコンデルタ

東南アジアの最大河川のメコン川の流れている

ベトナム南西部の三角州地帯のこと。

 

ツアーでは周辺の観光スポットを

日本語ガイド付きで案内してくれるとのことだった。

早速、待ち合わせの場所に行くとガイドさんがやってきた。

ベトナム人前歯が抜けたおじさんだ。

 

おじさんも流ちょうな日本語で話し出す。

「若いねー!!学生さん?」

ちょっと居酒屋なんかでからまれてる感覚。

 

でも気さくなガイドさんでよかった。

「今から別の人たちを迎えに行くからねー」

といって、セダンに招いてくれた。

10分くらいすると、立派なホテルの前に着いた。

ドアマンやガードマンまでいる。

まぶしかった。

 

こんな場所もあるんだ。

そう思いながら、待っているとひときわテンションの高い

(3,40代くらいの)お兄さんがやってきた。

「ちょっと待ってて!今仲間がトイレ行ってるから!」

とガイドさんに言ってゲラゲラ笑ってた。

しばらく待つと、申し訳なさそうに2人の男性と女性1人がやってきた。

「すいません、お待たせしましたー・・・」

 

全員集合したようだ。

車は2台に分かれた。僕とテンションの高い男性、そして女性が同じ車に。

ホテルを出発してしばらく。

テンションの高かった男性が、

「今日はよろしくお願いします。日本の方ですよね?」

と低姿勢で尋ねてきたから、

もちろんです。と返して身の上話が始まった。

 

彼は会社の社長らしい。

僕がちらちらと彼の袖口から覗く刺青を見ていると、「昔やんちゃでさ。」

とはにかんで答えてくれた。

そんな身なり、(と思ってしまったところ、まだまだ偏見があったんだろう。)

なのにしっかりとした人もいるんだ。

人は見かけによらないな。

 

社長さんは僕が19歳で、しかも一人で

世界一周をしていることにえらく感激してくれた。

「社長、この子といつか働けるといいですね!!」

 と女性が言って、「そうだね。」と、優しく答えて

にひひと楽しそうに社長も答える。

 

僕はこんなときどう返したらいいかわからなかったので、

とりあえず笑顔を返しておく。

「いつか僕も世界を回ってみようか。でも、会社休まなくっちゃなぁ。」

とため息をつくように社長がぼやいた。

 ・・・社長さんは大変そうだ。

 

そうこうしている間にはじめの目的地、メコン川の船着き場に着いた。

あいにく連日の雨の影響で、川は濁流だった。

船に乗り込み、また出発だ。

船頭さんがノンラーと呼ばれる傘のような帽子を渡してきた。

黙ってかぶると、「現地人やん!!!!」と全員から爆笑が起こった。

スマホのインカメで確認すると、そこには見知らぬベトナム人がいた。

僕だった。

顔濃いので、我ながらよく似合う笑

 

船から見渡す風景は、水、水、水。それはさながら海のよう。

途中で高床式の居住スペースがあることに気が付いた。

小屋やいけすもあり、足場のほうには犬が寝転んでいた。

何もないがのどかで、いい景色だ。

 

しばらく波に揺られたら、岸が近づいてきた。

映画でイメージしてもらいやすいのが、

ランボー4(最後の戦場)に出てくる川辺の村みたいな。

もしくはプラトーンの村。

 

桟橋から陸地に足を恐る恐る踏み入れる。

連日の雨で、ぬかるみは予想を超えるほどだった。

滑らないように注意していると、もはやそれが意味をなさないことがわかる。

踏み込んだ足が、ずぶずぶ…と冷たい泥の中に沈むのだった。

脚の真ん中、ふくらはぎまで足がしっかり地面に固定されてしまったので、

マイケルジャクソンみたいに体を傾けることができた。

 

四苦八苦して抜け出すと、ようやくまともな地面に出る。

岸から林を抜けると、そこには小さな工房のような建物があった。

どうやらここは、ココナッツ飴工場のようだった。

「皆さん、ここで少し休憩しましょう。」

 そうガイドさんが言った後、ぞろぞろと工場スタッフさんが

果物なんかを持って集まってきた。

モンキーバナナに、ジャックフルーツ

ドラゴンフルーツやランブータンまであった。

 

日本じゃなかなか食べられないもの。食感や味も独特でどれもおいしかった。

すると一人が、飴の原料でもあるロイヤルゼリーをすくってくれた。

「それもおいしいでしょ!!」とガイドさん。

 

数日間腹痛と闘ってきた体には、何よりの栄養だ。

ゆっくり味わっていると、「・・・買う?」

と聞いてきた。お上手ね。

さすがに荷物になるので断ったが、観光でなら買っててもよかったかもしれない。

 

そんなやり取りの間、ガイドさんはどこかに行ってしまった。

トイレかな?と思って待っていると、

ガイドさんは”お友達”と一緒に戻ってきた。

その”お友達”を見た瞬間、参加者の女性は固まった。

 

その正体は大蛇。体の太さは太ももくらいだった。

「触りたい人ー?」といじわるそうな笑みを浮かべながら聞いてきた。

参加者の男性一人と僕が勢い良く反応した!

だって、爬虫類かわええやん。

早速、男性が蛇の顎を撫で始めた。それに習って、

僕もゆっくりとなでる。

 

ひんやりムチムチしてて、気持ちいい。

とてもおとなしくて愛嬌のある蛇だ。

すると突然ガイドさんとスタッフさんが蛇を持ち上げて

僕の肩から首にかけて蛇を巻いてきた。

テレビとかでよく見る、例のあれだ。

ズッシリと体重がかかる。

少しずつ、少しずつ

ひんやりムチムチが体を這っていくのがわかった。

 

女性が恐る恐る、「その子、襲わないんですか…?」と尋ねると、

「朝、鶏いっぱいあげたから、大丈夫だ!!

しかも事故も、去年から起こってないし!!!」

とのこと。

いや、去年より前は起こってたんかい。と全員が突っ込みたそうだった。

 

次に工場を見学する。

飴は昔ながらの、すべて手作業で行われていた。

ココナッツを割り、中身を煮詰め、

(記憶は定かじゃないけど、ココナッツの殻を燃料にしていた気がする)

温めた飴を練り、棒状にして一粒ずつカットしていく。

そしてその一つ一つを包装し、梱包していく。

とても大変な作業だ。

 

作業しているほとんどが中年女性で、

その目は真剣そのものだ。

生活も懸かっているだろうし、この飴はベトナムをはじめ、

お土産としても多くの人に食べられるため、

職人としてのプライドもあるのかもしれない。

 

端正に作られた飴。

ありがたさと、食に対する崇高な何かを感じ取れた。

 

そのおかげか、頂いた飴はとてもやさしい味がした。

 

 

元気出たなぁ!!

to be continued