jackpackerの日記

旅するアーティスト、Jackやで。バックパッカーの土産話、聞いてく?

【旅】弱小バックパッカーの奮闘記 vol. 25 世界一周の備忘録 ベトナムベトナム

前回の記事はこちらー!!

 

jackpacker.hatenablog.com

 

 

日本のことが大好きでいてくれた旦那さんと

楽しく談笑していると、

「おまたせ!」と奥さんが料理を運んできてくれた。

おいしそうだ。

 

春雨の五目炒め、野菜炒め、川魚のおかゆ、野生のさくらんぼが振舞われた。

見た目はさながら中華料理みたいだ。

みんな目を輝かせて「いただきます!」と手を合わせた。

日本語でみんなでいただきますしたから、

なんだか学校の給食みたいで懐かしい。

 

早速春雨をかき込む。…おいしい!!

日本のものとさほど変わらない安心するおいしさ。

野菜炒めも同じくおいしかった。

 

さて、川魚のおかゆだ。少し緊張しながら食べた。

…これがうまい!!

刻みショウガが入っているから臭みなんてないし、

魚のうまみかおかゆにいいだしみたいな風味がついていた。

 

「正解は、これだよ。」と言って取り出したのは

AJINOMOTOだった。

「これがあれば、オールおっけい!」

 らしい。

 

うまいうまいと食べ続けて、結局3杯もお替りしてしまった。

それくらいおいしかったんだ。

 

最後にさくらんぼ。

これがまた少し変わり種で、身は小ぶりでさほど甘くなく、

むしろ渋みと酸味が強いものだった。

それでも何故か癖になる。

 

山のようにあったさくらんぼも、みんなで談笑しながら食べると

あっという間になくなった。

 

食事と楽しい時間のお礼をして、自分の部屋に戻る。

身も心も満たされた。

満足して、昼寝をした。

数時間後、不快感で目が覚めた。

苦しい。息がしずらい。呼吸困難だ。

全身のけだるさと、便意、視界のゆがみで

訳が分からなくなる。

 

10分くらいだろうか、感覚を慣らして何とかベッドから這い出る。

熱っぽさもあったから、バッグの温度計を取り出して

脇にぶっさしてトイレに腰かける。

 

たらりと何かが太ももまで滴る。

あ、これヤバいやつだ。

と思って、あるだけの力を振り絞って出す。

腹筋に力を込める。すると、強烈なボディーブローを

食らったかのような感覚がみぞおちに来て、

その次に吐き気がこみあげてくる。

まさに体中の穴という穴から

液体が出ていこうとしていた。

 

苦しい苦しいとは書いているが、当時はそんな比ではないほどきつかった。

悶絶し、意識も何回か飛びかけた。

体温は39・8℃。寒気も感じる。

原因はおそらく、川魚のおかゆだろう。

(川魚なんかには、熱を通しても死なない寄生虫や菌もいるそうな。)

 

こんなに苦しいのはフィリピンでもなかった。

トイレからは、はいつくばってベッドまで移動した。

吐き気と頭痛なんかと闘いながら、休憩を入れて移動する。

体温計を戻すついでに、正露丸と水を枕元までもって。

 

そこからは仰向けになって体をベッドに預けて眠ろうとするが、

呼吸がうまくできなくなってしまった。なので浅く呼吸する。

正直、寝返りを打つのもしんどい。

胃の中から洪水が出てきそうだったから。

おなかは張り、手足からは力が抜けむくんでいた。

気をしっかり保とうと、足をつねるが感覚までどこかに行ってしまったみたいだ。

生気なんて全くなかっただろう。

 

苦しさと格闘しているうちにいつの間にか意識を失ったらしい。

意識が戻ると僕は何故か三重県の自宅のソファに横たわり、

見慣れた天井を眺めていた。

あぁ、帰ってきたんだ。

そう思って心底安心した。

 

すると、一緒に住んでいるばあちゃんが声をかけようと近づいてきた。

しかし何も聞き取れない。口は動いているのに。

続いて、母親がやってきた。神奈川にいるはずなのに、どうして?

「ちょっとちょっと、はよ起きな。」と昔と変わらない口調で言った。

でもなんかおかしい。声と口があってない。

 

「起きな。」と言われ続けて目が覚める。

気が付くと、薄暗いベトナムの宿の部屋だった。

心がフリーズした。何にも感じられなかった。

なぜここに自分がいて、どういう状況か飲込めない。

 

しばらくぼーっとする。そして自分の体調が悪いことを思い出した。

相変わらず体は動かせないので、首を動かしていると、

雨宿りしに来たらしい、大きめのゴキブリが壁にいた。

のそのそと動くやつを見て

お前も逃げてきたんだな。と思った。

特別な感情も何もなく、その動きを目で追う。

 

そのままだとしょうがないので、改めて布団に入りなおし、

耳元でポッドキャストを流す。時間は確か、朝4時12分だった気がする。

感情がしびれてしまって、聞き流すだけ。

まるで、”モノ”にでもなった気分だった。

 

外ではゆっくりゆっくりと日が昇っていき、

空はそれに合わせてだんだん白くなっていく。

その代わりに僕の視界は徐々に暗くなっていった。

 

 次に目が覚めたのは13時ごろ。

ケータイはかなり熱を帯びていて、必死にポッドキャストを流し続けていた。

充電は残りわずか。ポッドキャストを切って充電する。

そのついでにトイレへ向かう。

やはり昨日と同じ調子だった。ベッドに戻るころにはへとへとになっていた。

少し動いただけでこの体力の減りようだ。

とりあえず正露丸と水。これだけは摂ろう。

フィリピンでも摂っていたから正露丸は残り少ない。

 

薬を飲み、眠り、トイレに行き…

の繰り返しがこの後二週間続いた。

 

ベトナムだけではなく次の国でも体調は治らず。

そんな日々の中、ベトナムの部屋に一回来客があった。

部屋を探していたラテン系の女の子とオーナーだった。

たまたま僕の着ていた服がサッカーユニフォームだったので、

女の子が「サッカー好きなの?」と聞いてきた。

自分はそうでもなかったので、この服をくれた友達が好きなんだというと、

少し残念そうだった。

二人と別れると、おもむろに向かいの扉があいた。

「どうも…」と言って声をかけると、冒険家っぽい白髪のおじいちゃんが

あいさつを返してくれた。オーストラリアから来たらしい。

自分の旅の話をすると、彼は自分もむかしバックパッカーだったと話してくれた。

お話は本国のこと、日本にも来たこと、トラブルなどなど。

おじいちゃんはちょうどこの時チェックアウトだったので、

会えたのはこの時限りだった。

しかし彼の話で勇気づけられたし、少し、というか、かなり元気になれた。

 

一期一会。まさにそれだ。

 

いろんな出会いがあるから、やっぱり出かけたくなる。

でも、トラブルに会ったりするのが怖いのも事実だ。

今回みたいなトラブルも、無事に済めば儲けもん。

ハイリスクハイリターン。

飛び込むか退くか。それはあなた次第。

そのさじ加減は、人それぞれ違う。

そしてそれが、あなたの旅もとい人生の味になるんだ。

 

ベトナムの滞在も残りあとわずかだ。 

to be continued